メモ/スコセッシの85本

映画について知りたきゃこれを見ろ!スコセッシの85本。
“Martin Scorsese's Film School: The 85 Films You Need To See To Know Anything About Film”

Ace in the Hole
/地獄の英雄 (1951 ビリー・ワイルダー)
All That Heaven Allows
/天はすべて許し給う (1955 ダグラス・サーク)
America, America
アメリアメリカ (1963 エリア・カザン)
An American in Paris
/巴里のアメリカ人 (1951 ヴィンセント・ミネリ)
Apocalypse Now
地獄の黙示録 (1979 フランシス・フォード・コッポラ)
Arsenic and Old Lace
毒薬と老嬢 (1944 フランク・キャプラ)
The Bad and the Beautiful
悪人と美女 (1952 ヴィンセント・ミネリ)
The Band Wagon
/バンド・ワゴン (1953 ヴィンセント・ミネリ)
Born on the Fourth of July
7月4日に生まれて (1989 オリヴァー・ストーン)
Cape Fear
/恐怖の岬 (1979 ジョン・リー・トンプソン)
Cat People
/キャット・ピープル (1942 ジャック・ターナー)
Caught
/魅せられて (1949 マックス・オフュルス)
Citizen Kane
市民ケーン (1941 オーソン・ウェルズ)
The Conversation
カンバセーション…盗聴… (1974 フランシス・フォード・コッポラ)
Dial M for Murder
ダイヤルMを廻せ! (1954 アルフレッド・ヒッチコック)
Do the Right Thing
/ドゥ・ザ・ライト・シング (1989 スパイク・リー)
Duel in the Sun
/真昼の決闘 (1946 キング・ヴィダー)
The Four Horseman of the Apocalypse
黙示録の四騎士 (1961 ヴィンセント・ミネリ)
Europa ’51
/ヨーロッパ一九五一年 (1952 ロベルト・ロッセリーニ)
Faces
/フェイシズ (1968 ジョン・カサヴェテス)
The Fall of the Roman Empire
ローマ帝国の滅亡 (1964 アンソニー・マン)
The Flowers of St. Francis
神の道化師、フランチェスコ (1950 ロベルト・ロッセリーニ)
Force of Evil
地獄の黙示録 (1948 エイブラハム・ポロンスキー)
Forty Guns
四十挺の拳銃 (1957 サミュエル・フラー)
Germany Year Zero
/ドイツ零年 (1948 ロベルト・ロッセリーニ)
Gilda
/ギルダ (1946 チャールズ・ヴィダー)
The Godfather
ゴッドファーザー (1972 フランシス・フォード・コッポラ)
Gun Crazy
拳銃魔 (1979 ジョセフ・H・ルイス)
Health
/ロバート・アルトマンのヘルス (1980 ロバート・アルトマン)
Heaven’s Gate
天国の門 (1980 マイケル・チミノ)
House of Wax
/肉の蝋人形 (1953 アンドレ・ド・トス)
How Green Was My Valley
わが谷は緑なりき (1941 ジョン・フォード)
The Hustler
ハスラー (1961 ロバート・ロッセン)
I Walk Alone
/暗黒街の復讐 (1948 バイロンハスキン)
The Infernal Cakewalk
/地獄のケークウォーク踊り (1903 ジョルジュ・メリエス)
It Happened One Night
或る夜の出来事 (1934 フランク・キャプラ)
Jason and the Argonauts
アルゴ探検隊の大冒険 (1963 ドン・チャフィ)
Journey to Italy
/イタリア旅行 (1954 ロベルト・ロッセリーニ)
Julius Caesar
ジュリアス・シーザー (1953 ジョセフ・L・マンキウィッツ)
Kansas City
カンザス・シティ (1996 ロバート・アルトマン)
Kiss Me Deadly
キッスで殺せ (1955 ロバート・オルドリッチ)
Klute
/コールガール (1971 アラン・J・パクラ)
La Terra Trema
/揺れる大地 (1948 ルキノ・ヴィスコンティ)
The Lady from Shanghai
/上海から来た女 (1947 オーソン・ウェルズ)
The Leopard
/山猫 (1963 ルキノ・ヴィスコンティ)
Macbeth
マクベス (1948 オーソン・ウェルズ)
The Magic Box
/[未] (1951 ジョン・ボールティング)
M*A*S*H
/M★A★S★H マッシュ (1972 ロバート・アルトマン)
A Matter of Life and Death
/天国への階段 (1946 マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー)
McCabe & Mrs. Miller
/ギャンブラー (1971 ロバート・アルトマン)
The Messiah
メサイア (1975 ロベルト・ロッセリーニ)
Midnight Cowboy
真夜中のカーボーイ (1969 ジョン・シュレシンジャー)
Mishima
/ミシマ 11月25日、快晴 (1986 ポール・シュレイダー)
Mr. Deeds Goes to Town
オペラハット (1936 フランク・キャプラ)
Mr. Smith Goes to Washington
スミス都へ行く (1939 フランク・キャプラ)
Nashville
ナッシュビル (1975 ロバート・アルトマン)
Night and the City
/街の野獣 (1950 ジュールス・ダッシン)
One, Two, Three
/ワン、ツー、スリー ラブハント作戦 (1961 ビリー・ワイルダー)
Othello
/オーソン・ウェルズの オセロ (1952 オーソン・ウェルズ)
Paisa
/戦火のかなた (1946 ロベルト・ロッセリーニ)
Peeping Tom
/血を吸うカメラ (1960 マイケル・パウエル)
Pickup on South Street
/拾った女 (1953 サミュエル・フラー)
The Player
/ザ・プレイヤー (1992 ロバート・アルトマン)
The Power and the Glory
/力と栄光 (1933 ウィリアム・K・ハワード)
Stagecoach
駅馬車 (1939 ジョン・フォード)
Raw Deal
/ひどい仕打ち (1948 アンソニー・マン)
The Red Shoes
/赤い靴 (1948 マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー)
The Rise of Louis XIV
ルイ14世の権力奪取 (1948 ロベルト・ロッセリーニ)
The Roaring Twenties
/彼奴(きやつ)は顔役だ! (1939 ラオール・ウォルシュ)
Rocco and his Brothers
若者のすべて (1960 ルキノ・ヴィスコンティ)
Rome, Open City
無防備都市 (1945 ロベルト・ロッセリーニ)
Secrets of the Soul
/[未] (1912 ヴィンチェンゾ・ドニゾ)
Senso
/夏の嵐 (1954 ルキノ・ヴィスコンティ)
Shadows
アメリカの影 (1959 ジョン・カサヴェテス)
Shock Corridor
ショック集団 (1963 サミュエル・フラー)
Some Came Running
走り来る人々 (1958 ヴィンセント・ミネリ)
Stromboli
/ストロンボリ (1950 ロベルト・ロッセリーニ)
Sullivan’s Travels
サリヴァンの旅 (1941 プレストン・スタージェス)
Sweet Smell of Success
/成功の甘き香り (1957 アレクサンダー・マッケンドリック)
Tales of Hoffman
ホフマン物語 (1951 マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー)
The Third Man
/第三の男 (1951 キャロル・リード)
T-Men
/[未] (1942 アンソニー・マン)
Touch of Evil
黒い罠 (1958 オーソン・ウェルズ)
The Trial
/審判 (1962 オーソン・ウェルズ)
Two Weeks in Another Town
/明日になれば他人 (1962 ヴィンセント・ミネリ)


00年代-1本、10年代-1本、30年代-6本、40年代-21本、50年代-26本、60年代-13本、70年代-10本、80年代-5本、90年代-2本。

ロッセリーニが9本で一番多くて、続いてミネリ、ウェルズ、アルトマンの6本。キャプラ、パウエル、ヴィスコンティが4本。マン、フラー、コッポラ3本。カサヴェテス、フォード、ワイルダーが2本。

メランコリア

アンチクライスト』に続いてこれまたいい。メランコリックで好い。
あれほどワケわかんない突き抜け方はしてないんだけど、それに負けない大袈裟なハッタリが、笑っちゃうほど清々しい。特にラストの潔さは絶品。

フィルムに刻まれた憂鬱は、見ていて帰りたくなるほどウンザリするものなんだけど、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の頃のあざとさとは違う、胸を打つものになっていると思う。「アンチクライスト」以降のトリアーはハネケなんかよりずっといい。

自身の環境をロマンチックに演出することによって、苦悩から逃れようとする主人公のキルスティンがいたたまれない。(普通に)生きることって苦しみは、誰しも大なり小なり感じたことがあるものだろうから、感情移入させまくりな映画にも出来たんだろうけど、そうはトリアーがおろさない。いたたまれないけど、とにかく不快。他の登場人物たちもことごとく不快。シャーロット・ランプリングなんて、不快を超えて恐ろしい。こう感じの悪い監督は、他にはそうないんで、どーも応援したくなってしまう。

『ツリー・オブ・ライフ』と一緒で、要はセカイ系なんだけど。
DVDも出たし、うろうろ彷徨うだけのショーン・ペンがまた見たくなってきた。




2012年2月17日 日本公開/デンマーク/130分
監督:ラース・フォン・トリアー/出演:キルスティン・ダンスト、C・ゲンズブール


ドラゴン・タトゥーの女

iMac壊れて困っちゃった生活も、ニューマシンが届いたんでやっとこさ終了。

1月以上ぶりの更新なので、なにを書こうかなあというとこなんだけど、
まずは11日に見た『ドラゴン・タトゥーの女』を。

デヴィッド・フィンチャーってハッタリと作り込みの人だと思うんだけど、再現好きっていうか、ウソのほんとを作るのが異常にうまい。だから「ミレニアム」の映像化として、これはおそらく最高のもの。

台詞や、衣装、小道具に至るまで詰め込まれた情報は、明らかにスウェーデン版以上のものなんだけど、語り口がスマートになったんでランニングタイムはほぼ変わらない。それでいてすっきりした印象さえあるのは、全体のトーンが統一されたから。160分近い上映時間、息つく暇なく「ミレニアム」ワールドで埋め尽くしたフィンチャーってやっぱすごい。

前作『ソーシャル・ネットワーク』で、アンドリュー・ガーフィールドが着ていたノースフェイスのジャケットが、いつの間にかジェシー・アイゼンバーグのものになっていたような奥行き表現は今作でもあって、ルーニー・マーラが使うMacはアイコンなどカスタムした恐らく最新のものであるのと対照的に、ダニエル・クレイグの使うMacは、何世代か前のソフトで埋め尽くされてたりする。

いたるところがそんなんで、どこを切り取っても情報で、完全版「ミレニアム」にもうお手上げっちゅーか、当然傑作ですって花丸あげたくなってしまう。

けどやっぱ、映画としてこれは凡作だよね。
80点あげたくなる凡作。よく出来た失敗作。やあなんでしょね。
嫌いじゃないけど、うーむ。

身も蓋もないけど、そもそも原作の「ミレニアム」が映画に向いてない。2時間の映画にするには、ひとつの物語の中で語りたいことが多すぎるし、売れすぎてる。
それにフィンチャー再現の人だから、全部やろうとするし、その中でよく頑張ってはいるんだけど、どうしても出来事の羅列になってしまって、映画が動き出さないというか、原作の映像化から映画にまでいってないような感じがしてしまう。
もちろん得意のハッタリで、なんとか映画を動かそうとするんだけど、それが音楽だけになってるのが心もとない。爆音で見たらあるいはって気はしなくもないけど。

なんだかひどくまとまらないまま書いたんで、だらだら長くなってしまった。気が向いたら書き直そう。

強くてゴスでハッカーで映像記憶能力あってドラゴンタトゥーっていう、リスベットのスーパーすぎるバカ設定の楽しさこそがなによりの魅力だと思うんで、そこに絞ったルーニー・マーラ主演の続編を、フィンチャーには是非撮ってもらいたいなあ、と思う。




2012年2月10日 日本公開/米・スウェーデン・英・独/158分
監督:デヴィッド・フィンチャー/出演:ルーニー・マーラ、ダニエル・クレイグ


1月にみた映画



1/1「歴史は女で作られる@シアター・イメージフォーラム
1/2「引き裂かれた女」
1/4「ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間」(SEE)
1/5「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」(SEE)
1/6「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」(SEE)
1/7「哀しき獣」@TOHOシネマズ川崎
1/7「テトロ」@シネマート六本木
1/13「贖罪」 第一話 “フランス人形”
1/13「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
1/14「贖罪」 第一話 “フランス人形”(2)
1/14「クッキー・フォーチュン」
1/14「ジャックポット
1/17「贖罪」 第二話 “PTA臨時総会”
1/17「ディフェンドー 闇の仕事人」
1/18「アンダーカヴァー
1/20「果てなき路」@シアター・イメージフォーラム
1/20「アイム・ヒア」ユーロスペース
1/20「モーリス 万博に行く」ユーロスペース
1/20「みんなの知らないセンダック」ユーロスペース
1/21「旋風の中に馬を進めろ」
1/21「銃撃」
1/22「さらば冬のかもめ
1/28「贖罪」 第三話 “くまの兄妹”
1/29「アミスタッド」


計24本(劇場7本。DVDとか17本。初見18本。)3

「哀しき獣」「テトロ」

やっと公開された「テトロ」の初回に間に合わず、しょうがないので先に「哀しき獣」を川崎で。FILMeXでやってた「チェイサー」のナ・ホンジン最新作。

とても力の入った作品だった。骨と斧を振り回す狂犬ミョンを演じたキム・ユンスクが面白い。ハードな韓国映画が好きな人にはお薦め。

ただ最近どうもスピーディーなカット割りとか、臨場感溢れる手持ちカメラってのが苦手なようで、それが延々と続くアクションシーンを見てると眠くなってしまう。堂々たるバイオレンスシーンに比べて、カーチェイスでは誤魔化されてるような感じ。特に後半はそれが顕著だった気がして意識が…。

それと140分はどうにも長い。キム・ユンスクが凄まじいせいか、ハ・ジョンウ演じる主人公グナムに「エッセンシャル・キリング」風な味付けをして、身体性を強めようとしてるんだけど、そのシーンは全部要らないと思うんだよね。コスプレはいいにしても、雪山とかさ。せっかく前半にいい走りをみせたり、ハ・ジョンウはかなり頑張ってるんだから、ちゃんと信頼して中途半端に他所から持ってきた味付けとかしない方が、主人公としての存在も強まるし、作品もタイトになって良くなったんじゃないかなあ。

ちょっと頭でっかちに見過ぎた気もするけど。



2012年1月7日 日本公開/韓国/140分
監督:ナ・ホンジン/出演:ハ・ジョンウ、キム・ユンスク


そのまま六本木に移動して「テトロ」。ずっと見たかったコッポラ最新作。
来月にはDVDでるし、あまりに寂しい公開のされ方だけど、
とにかく必見の、コッポラの新しい最高傑作だと思う。

淡いモノクロで描かれる、なんてことない家族の物語がこれ以上ないスケールで襲いかかってくる。映画ってこんなに面白かったのね、ってことを再認識させてくれる、コッポラ本気汁出まくりの一本。

パレルモ・シューティング」のヴェンダースとはまた違った方法で、コッポラは世界を変える。コーヒーとタバコ、いやタバコとコーヒーか。タバコを立て、真上からコーヒーを映す。このショットのスマートさ、カッコよさ、臆面のなさ、どうだい?って感じ。
もーたまらんわね。
ほかにもね、オープニングから本当うっとりするようなシーン(映画)の連発。
映画につぐ映画。嬉しくなってしまう。
彼はテトロなのかコッポラなのか。たぶんテトロで、たぶんコッポラなんだわな。

シネマート六本木では一週間の限定公開中。是非。




2012年1月7日 日本公開/アメリカ・アルゼンチン・スペイン・イタリア/127分
監督:フランシス・F・コッポラ/出演:ヴィンセント・ギャロ、アルデン・エーレンライク


引き裂かれた女

昨日見た「歴史は女で作られる」から、ゴージャスさを抜いたらこんな感じなのかも…って違うか。ともあれ、ほんと豊かな映画。見るのは二回目だけど、やっぱ好いよなあ、シャブロルはほんとスケベだなあ。やっぱこれも一位だったか。

登場人物たちの言葉や、目線、存在といったものから発される匂い。それがカメラに写らない世界をぐんぐん広げていく。どこまでもエロくて、ふしだらで、アホアホな想像が映画をどこまでも豊かにしていくんで、ありふれた三角関係の物語なのに新鮮で、ぞっとするほど面白い。

あのラストシーンは1なのか0なのか、ちょっと判断つきかねてるんだけど、あのサニエがカッチョいいんで1だと思いたい。「ナッシュビル」で歌の下手な女が歌わされるシーンも見なおしたくなってきたなあ…




2011年4月9日 日本公開/フランス・ドイツ/115分
監督:クロード・シャブロル/出演:リュディヴィーヌ・サニエブノワ・マジメル


歴史は女で作られる

元日も早朝からめっぽう忙しくて疲れ果てたんで、これじゃいかん正月しなきゃと、今やってる中で一番豪華そうな「歴史は女で作られる」を見に行くことに。

超ゴージャス!超スケールでかい!超面白い!ローラ超かっけえ!
これはもう、どうしようもないほどの大傑作。
新年一発目から、こんな贅沢な体験いいのかしら。

早くも決定今年のベスト!もう完全に元取れた。

明けましておめでとうございます。

よし、明日は「引き裂かれた女」を見なおそう。




2011年12月23日 デジタル・リマスター完全復元版公開/フランス/110分
監督:マックス・オフェルス/出演:マルティーヌ・キャロル、ピーター・ユスチノフ