ドラゴン・タトゥーの女

iMac壊れて困っちゃった生活も、ニューマシンが届いたんでやっとこさ終了。

1月以上ぶりの更新なので、なにを書こうかなあというとこなんだけど、
まずは11日に見た『ドラゴン・タトゥーの女』を。

デヴィッド・フィンチャーってハッタリと作り込みの人だと思うんだけど、再現好きっていうか、ウソのほんとを作るのが異常にうまい。だから「ミレニアム」の映像化として、これはおそらく最高のもの。

台詞や、衣装、小道具に至るまで詰め込まれた情報は、明らかにスウェーデン版以上のものなんだけど、語り口がスマートになったんでランニングタイムはほぼ変わらない。それでいてすっきりした印象さえあるのは、全体のトーンが統一されたから。160分近い上映時間、息つく暇なく「ミレニアム」ワールドで埋め尽くしたフィンチャーってやっぱすごい。

前作『ソーシャル・ネットワーク』で、アンドリュー・ガーフィールドが着ていたノースフェイスのジャケットが、いつの間にかジェシー・アイゼンバーグのものになっていたような奥行き表現は今作でもあって、ルーニー・マーラが使うMacはアイコンなどカスタムした恐らく最新のものであるのと対照的に、ダニエル・クレイグの使うMacは、何世代か前のソフトで埋め尽くされてたりする。

いたるところがそんなんで、どこを切り取っても情報で、完全版「ミレニアム」にもうお手上げっちゅーか、当然傑作ですって花丸あげたくなってしまう。

けどやっぱ、映画としてこれは凡作だよね。
80点あげたくなる凡作。よく出来た失敗作。やあなんでしょね。
嫌いじゃないけど、うーむ。

身も蓋もないけど、そもそも原作の「ミレニアム」が映画に向いてない。2時間の映画にするには、ひとつの物語の中で語りたいことが多すぎるし、売れすぎてる。
それにフィンチャー再現の人だから、全部やろうとするし、その中でよく頑張ってはいるんだけど、どうしても出来事の羅列になってしまって、映画が動き出さないというか、原作の映像化から映画にまでいってないような感じがしてしまう。
もちろん得意のハッタリで、なんとか映画を動かそうとするんだけど、それが音楽だけになってるのが心もとない。爆音で見たらあるいはって気はしなくもないけど。

なんだかひどくまとまらないまま書いたんで、だらだら長くなってしまった。気が向いたら書き直そう。

強くてゴスでハッカーで映像記憶能力あってドラゴンタトゥーっていう、リスベットのスーパーすぎるバカ設定の楽しさこそがなによりの魅力だと思うんで、そこに絞ったルーニー・マーラ主演の続編を、フィンチャーには是非撮ってもらいたいなあ、と思う。




2012年2月10日 日本公開/米・スウェーデン・英・独/158分
監督:デヴィッド・フィンチャー/出演:ルーニー・マーラ、ダニエル・クレイグ