クリスマス・ストーリー

イビツでフクザツ、うっかり暗くなってもおかしくないキツイ家族の物語を、デプレシャンはどこまでも軽快に語る。ドキュメンタリックなカメラを急に挟み込んだり、あまりにバカな演出で笑わせたり、とにかくやりたい放題で楽しすぎる。身勝手すぎる登場人物たちを、ポップでカラフルな演出で語る感じが、どこか「パンチドランク・ラブ」っぽい?ような。まーそんなんはいいか。

ウソなんですよ、映画なんですよと宣言してるようだった登場人物たちは、気付けばリアルな存在になっていて、それぞれの語る物語の断片が、いつしか数十年の深みを持った家族の物語になって押し寄せてくる。
よくもこれだけ豊かな物語を、たった150分で、しかも軽々と。

ミュンヘン」のマチュー・アマルリックに、笑っちゃうほどデプレシャンに愛されてるドヌーヴ。勝手に物語を紡いでは傷つくこわい姉ちゃんも良かったし、佇まいから完璧なお父さんやら、あき竹城?やら役者陣もみんな良かった。

これはとてもいい映画。12月になったら観直そう。



2010年11月20日公開/フランス/150分
監督:アルノー・デプレシャン/出演:カトリーヌ・ドヌーヴマチュー・アマルリック