ヒミズ

シネクイントで「ヒミズ」。
古谷実の漫画が原作ではあるけど、これもまたどうしようもなく園子温だった。
過剰で、うるさくって、身勝手で、パワフル。
この面倒臭さは他にない。
好きか嫌いかなら嫌い。でも新作がやるなら見たい。
だから園子温の映画を面白いと感じているんだと思う。嫌いだけど。

ここには「オレはモグラのようにひっそりと暮らすんだ」って言ってた住田はいない。そのかわり「オレはモグラになりたい。ヒミズになりたい」って住田がいる。似てるんだけどなんか違って、このなんか違う感じが、「ヒミズ」の何倍もいい「冷たい熱帯魚」にどうも乗れなかった理由なんだと思う。もうちょっと考えたいと思ってもたもたしているうちに、おっきい声で答えっぽいものを言われて切り上げられる感じとゆーか。それはすごくパワフルで独特なリズムを生んでるから、見ている間は退屈はしないんだけど、どっかもろい気がして、もっと詰めてよと思ったりで、映画自体がどうでもよくなってくる。

ただ渡辺哲と窪塚のコンビは良かった。何に出ようがどんな役だろうが渡辺哲は渡辺哲で、窪塚洋介窪塚洋介だってことになんだか安心して、相変わらずアクが強いのに無理してない二人が頼もしかった。久しぶりに見るトーちゃんとタカシの相性はバッチリで、ないならないでかまわないシーンなのに、なにかが始まりそうな予感がするとてもいいシーンだった。住田と茶沢なんていいから、あいつらだけ見ときたい。
ムラジュンのヤクザがちゃんと怖かったのと、飛び出す諏訪太郎もよかった。

前の日に見た「ヒューゴ」と「人生はビギナーズ」、先週の「メランコリア」はまたおいおい




2012年1月14日 公開/日本/130分
監督:園子温/出演:染谷将太二階堂ふみ